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久米島で伝統的信仰に出会う旅

わげんせ 久米島で伝統的信仰に出会う旅

2020年06月05日

久米島取材

沖縄の信仰に出会える場所

沖縄県に今も残る固有の信仰。
離島も含めて、沖縄のお墓やご供養の形態は、
本土と大きく異なります。
しかし、一番の違いは信仰の篤さでしょう。

観光協会の方から「2月中旬の週末は飛行機の予約が取れない」と言われた筆者。
島外から墓参のため、島へ帰る人々で混み合うからだそうです。
(旧暦を用いるため、2020年は2月中旬でしたが年により異なります)

さて、最近は映画などで知る人も多い沖縄県の葬送方法として、
「風葬(ふうそう)※」があります。

久米島で有名な観光スポットの一つ、「ヤジヤーガマ」は、
長い時の流れを感じさせる巨大な鍾乳洞であると同時に、
その昔、風葬に使用されていたガマ(洞窟)です。

ガマの入口から見上げる風景は神秘的

明治時代まで、ガマの出入口付近は、近辺の複数の村々の共同墓地、
そして、風葬の場所として使われてきました。

しかし、沖縄県では先祖の霊を崇める一方で、
「死」は「穢(けが)れ」と捉えられていました。

それでは、なぜ外から見える場所を
あえて風葬の場としていたのでしょうか。
島ガイドの保久村昌欣さんに尋ねました。

「あの世だって暗いと生活できないでしょ。
だから、少しでも明るい場所でと考えたんでしょうね」

なるほど。
先祖を大切にする沖縄の人々の心が垣間見えるようです。

ガマの出入口付近。ここで風葬が行われていた

記憶から消えゆく「風葬」

「この地域の風葬は7、8年かけて行われます。
一次葬は箱に入れ、二次葬で取り出してきれいに洗骨し、
甕(かめ)におさめるのです」

また、洗骨は海で遺骨を洗うというイメージが強いですが、
方法は土地により異なるそう。

「ヤジヤーガマの場合は海から離れているから、
カラムシの葉で拭うんです。
僕も一度だけ、その場面に立ち会ったことがあります」

こうした風葬は明治まで続きましたが、
(一部では1970年代まで続いたという記録もあり)
現在、そのときの記憶を留(とど)めている人は数少ないと言われます。

地球の神秘にも出会える場所

鍾乳石は環境によって異なるが6mmから1cm伸びるのに100年かかる

現在は観光スポットとして、幻想的な雰囲気を醸すヤジヤーガマ。
ここでは葬送の歴史だけでなく、
ここにしか生息しない生物に出会うこともできます。

まず、久米島をはじめとした一部の島にのみに生息する「クメカマドウマ」。
コオロギに似た昆虫です。

真っ暗なガマの奥から一歩も出ずに生活できるこの虫は、
これまた、沖縄の一部の島にのみ生息するコウモリ――
「オキナワコキクガシラコウモリ」が運んでくるフンで
生きのびていることから、いつしか目が退化してしまったそう。

「クメトカゲモドキ」も地域限定のトカゲモドキの一種。
県の天然記念物かつ絶滅危惧種です。

このように特有の生物が多く生息し、古くから大切にされてきたガマ。
刻まれた歴史への畏敬の念を忘れず、訪れてほしいと願います。

ガマの入口。服装の注意だけでなく、畏敬の念も忘れずに…

※沖縄の風葬:遺体を崖(ハンタ)や洞窟(ガマ)に置いて腐敗を待ち、
その後、洗骨して厨子甕に入れ墓に納骨する葬送方法。

>>「久米島で琉球王府時代から続く文化に触れる旅」に続く(6月中旬公開予定)

>>「久米島で伝統文化に出会う旅」

 

[編集長のミニコラム] あの世の正月「ジュウルクニチ」

十六日――沖縄で「ジュウルクニチ」と言われるこの日は、
供養において大切な一日です。

旧暦の1月16日は「あの世の正月」と言われ、
一家揃って本家や各家の墓参りをする日とされています。
久米島では、各学校が午後から臨時休校になるほど、島では重要な行事です。

冒頭で、「2月中旬の週末は飛行機の予約が取れない」と書きましたが、
久米島同様、旧暦の1月16日にお墓参りをする離島(石垣島や宮古島など)へ
どうしても帰省できない人たちは、那覇市内の三重城(ミーグスク)から
島に向かい「ウトゥーシ」(遥拝)をします。

このことからも、沖縄の人々にとって、
先祖の供養が大切な行事であることが伺えます。

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