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久米島で伝統文化に出会う旅

わげんせ 久米島で伝統文化に出会う旅

2020年04月13日

久米島取材

久米島の大自然から島の歴史と文化を知る

 

沖縄本島から飛行機で30分、約100キロの西方に、

沖縄の中でも特に伝統的信仰を守る島――久米島(くめじま)があります。

 

まず向かったのは「ニブチの森」。

“島の学校”の先生・保久村昌欣さんによるガイドで、

ニブチの森を通し、島の文化と信仰を知ることができるのです。

ニブチの森

様々な植物を名前だけでなく、島の生活や歴史と結びつけて教えてくれる

 

この森を紹介する前に、花好きにはぜひ見てほしいポイントが。

森に至る林道には、1月は桜、2月は椿、4月はツツジと、色鮮やかに

登る人の目を楽しませてくれます。

 

さらに、林道に至るまでは、サトウキビ畑。

そう。現在の久米島の主な農作物はサトウキビなのです。

しかし、明治時代まで、この島は稲作が中心でした。

 

それが、廃藩置県による減反で米を作ることが禁じられてしまったのです。

今では、島に田んぼを見ることはありません。

 

しかし、ニブチの森に入ると、稲作時代の名残を見ることができます。

同時に、炭焼きの跡も残っています。これは農地が少ない家が炭を焼くことで

家計を補っていたためです。

ニブチの森

森からむかしの人々の生活と、島の成り立ちが見えてくる

 

森の草木は島の生活に密着しています。

 

例えば、美しい久米島紬に使われる泥染めに使われるグール(サルトリイバラ)

や、赤くかわいい実をつけムーチー(餅)や化粧品にも使われる月桃(げっとう)、

沖縄独特の線香(平ウコー)を固める粘着物質の元になるタブノキなどなど。

 

また、随所に見られる盛土はミミズのフン。

ミミズが大好物のリュウキュウヤマガメにも出会えるかもしれません。

 

久米島の信仰に触れる

 

ただし、注意も必要です。

ニブチの森の奥には、久米島島民が大切にしている御嶽(うたき)

――沖縄の古くからの信仰において祭祀や拝みなどが行われる場所で、

首里王府下での聖地の総称。久米島の言葉では「ウガミ」――

なども点在しています。

 

本来は男子禁制。神聖な信仰の場ですので、安易に立ち入ったり、

石を持ち帰ったりすることは絶対にやめましょう。

 

同時に、このように山道から少し奥まったところには、

戦争の爪痕に出会うこともあります。むかしの防空壕跡です。

 

久米島は米軍の上陸がなかった地域ですが、

空襲や海からの砲弾射撃があったそうです。

 

また、地上戦を阻止した島民がいたことで、

沖縄本島のような地上戦はありませんでしたが、

そのために起きた戦後の悲劇が存在することも、

久米島のむかしを知るには、押さえておきたいところです。

 

今ではこの防空壕はハブの住処になっていますから、

そういった意味でも、興味本位で立ち入らないようにしてください。

 

ガイド付きの森散策は約90分。

森を出たら、久米島のグルメが待っています。

 

>>「久米島で伝統的信仰に出会う旅」に続く

 

[編集長のミニコラム]島グルメ

 

久米島には「海洋深層水」を使った事業が多数あり、

現在も研究が進められています。

 

久米島は約20年前に水深約612mに取水パイプを敷き、

一日に13,000トンもの海洋深層水をくみ上げ、

国内第一位の取水量を誇るのだそう。

 

ここでくみ上げた海洋深層水は、

海ブドウや車エビの養殖、化粧品などに活用されています。

 

「久米島では通年、海ブドウが味わえます。

他の地域には珍しい、海ブドウの卵焼きもあるんですよ」

と久米島観光協会の古堅さんは教えてくれました。

海ぶどう

事前申し込みで海ブドウの養殖場が見学できる。海ブドウの繊細さを知ってからいただく試食はまた格別

 

沖縄にはヤギを食す文化がありますが、久米島は沖縄本島と異なり、

ヤギ汁にはヨモギ(沖縄の言葉で「フーチバー」)ではなく、

栄養価の高い長命草(ボタンボウフウ。沖縄での通称は「サクナ」)を入れます。

 

長命草は、その栄養価の高さから、

大手化粧品会社で健康食品として加工され、商品化されています。

 

「長寿の島」と言われる沖縄。

その中でも久米島は島の至るところで長寿の秘訣に出会うことができます。

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