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イベントレポート 【イベントレポート】平成29年度光明寺 秋安居 一般公開講座

2017年10月18日

吉田太一社長の公演模様

キーパーズ有限会社 吉田太一社長

10月15日(日)に行われた、「平成29年度光明寺秋安居 一般公開講座」に参加してきました。

会場となった町屋光明寺東京御廟本館の本堂には、ご僧侶の他、講座を聞くために来場した一般の方々も多数詰めかけていました。

この日の講座内容は、日本初の遺品整理会社「キーパーズ有限会社」を設立した吉田太一社長による『遺品整理の現場から ~孤立死しない為には・死に様から学ぶ生き様とは~』。長きにわたり遺品整理サービスをされてきた「遺品整理人」という独自の立場から、社会問題となっている孤立死の現状についてお話をされました。

もともと引越サービスの会社をされていた吉田社長は、いくつものお宅へ伺う中で遺品整理の必要性を感じ、遺品整理サービス会社を設立したそうです。いまでは、東京・名古屋・富山・大阪・福岡・北海道・北九州、さらには韓国にも支店を構え、年間1700件以上の遺品整理を行っているとのこと。
そんな吉田社長が遺品整理の仕事をしていく中で問題視しているのが、「孤立死」。

ある調査によると、日本では年間で約120万人の方が亡くなられており、そのうち3~4万人もの方が孤立死をしているのだとか。

孤立死の現場を知る吉田社長は、業務とは関係なく、自らお年寄りのもとを訪れてお話を聞くことがあるそうです。ある時、80代のご老人を訪ねた時にこんなことを聞かれたそうです。

「どうしたら早く死ねる?」

生前に遺言を残す人はわずか数パーセントだそうですが、荷物の整理を始める人は約7割にも上るそうです。
最近、吉田社長のもとには故人の遺品整理を頼む遺族ではなく、自分が死んだときに遺品を処分してほしいという依頼が来るそうです。
いつお亡くなりになるかわからない人の遺品整理を受けるわけにはいかないと、お断りをしているそうですが、今後そのような要望はさらに増えるだろうとのことです。

講演の後半には、約20分のアニメーションが上映されました。
孤立死を描いたこのアニメーションはなんと、吉田社長自らが脚本、演出を行ったそうです。

ストーリーは、家族とも隣近所とも関りを持たず、社会とのつながりを拒んだ老人が孤立死してしまい、生き方を後悔するというもの。やわらかいタッチの画とは対照的に、孤立死の怖さや、残された家族の苦悩を描く、ショッキングな内容でした。

吉田社長はこの作品を10年前に制作したということでしたが、これから来るであろう大高齢化社会へのメッセージとして、この先も何度となく上映されるのではないでしょうか。機会があれば、是非観ていただきたい作品です。

「遺品から故人がわかる。死に様から生き様がわかる」と、吉田社長は言います。
孤立死をされた方の引き取り手のない遺品には、悲哀が塵となって降り積もっているのかもしれません。

「国は一人でも生きていける社会、自立を促しているけれど、自立が孤立へとつながることもある」と警鐘を鳴らす吉田社長は、最後にこうお話しされました。

「いまからでも遅くはない。家族や友達と連絡を取りましょう」

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